12月24日 黑井 健
朝 (あさ)モヤがかかり 景色(けしき)が 白(しろ)く かすんでいます。
“今日(きよう)も一日(いちにち) 世界(せかい)中(じゆう)が無事(ぶじ)でありますように。”
朝食(ちよう、しよく)の支度(したく)です。
野菜(やさい)の皮(かわ)を ていねいに むきます。
べーコんを かりかりになるまで。
ゆっくり いためます。
その油(あぶら)で 野菜(やさい)も いため。
スープストックで ことこと 煮(に)ます。
キッチンは おいしそうなにおいしで いっぱいになりました。
“今日(きよう)は 大切(たいせつ)な日(ひ)、卵(たまご)は 二(ふた)つにしよう。”
ライ麦(むぎ)パンを 切(き)って、
ミルクを 用意(ようい)して できあがり。
熱(あつ)い 野菜(やさい)スープが
体中(からだ、じゆう)を 暖(あたた)かくしてくれます。
外(そと)で 呼(よ)ぶ声(こえ)がじます。
“そうそう みんなにも 朝(あさ)ごはんだ。”
ガウンを 脱(ぬ)いで 着替(きが)えます。
“おはよう。今日(きよう) しっかりたのむよ”
納屋(なや)は 千(ほ)し草(くさ)のにあいで いっぱいです。
夏(なつ)の間(あいだ)に 刈(か)り取(と)っておいたものです。
夏(なつ)の季節(きせつ)には マスがおよぎ、
あたりには ヒースが ピンク色(いろ)の花(はな)をつけ、
黒豆(くろまめ)や コガネイチゴの実(み)が たくさん採(と)れます。
でも、今(いま)は 冬(ふゆ)。
すべてが 凍(こお)りついています。静(しず)かです。
一(ひと)仕事(しごと)が終(お)わり、休(やす)みます。
暖炉(だんろ)の前(まえ)で 本(ほん)を開(ひら)きました。
いつま 途中(と、ちゆう)で うとうとするので、
すこししか 読(よ)めません。
目(め)がさめると お腹(なか)がすいていました。
スモークチキンと 自家製(じかせい)の イチゴジャムで
サンドイっチを つくります。
半分(はんぶん) 食(た)べて、あとは 今夜(こんや)のために あ弁当(べんとう)にします。
北(きた)の果(は)の太陽(たいよう)は もう沈(しず)もうとしています。
一年(いちねん)に一度(いちど)の夜(よる)が やってきました。
あたりは もっと 静(しず)かになりました。
暗(くら)い夜道(よみち)には 明(あ)かりが いります。
ボタンが 落(お)ちそうになっていました。
服(ふく)が 小(ちい)さくなった 気(き)がします。
“すこし太(ふと)ったうだ。”
さあ、夜(よ)が明(あ)ける前(まえ)に みんなのまとへ---